[Book]マイクロ・タイポグラフィを学ぶ『Detail in typography』

August 24, 2017Journal

マイクロ・タイポグラフィ』

マイクロ・タイポグラフィ(ディティール・タイポグラフィ)の基本を学ぶ

1987年の出版以降、世界10カ国以上で翻訳され読み継がれて来た欧文組版の名著『Detail in typography

デザインを生業として仕事をしていく上で、伝えたい意図を伝えたい対象にどうやって届けるのか?これは永遠の課題だと感じています。

特に昨今のWEBデザインでは、HTML5+CSS3の台頭により表現の幅が広がり、いよいよ活版印刷との差異が生まれ始めているという現状です。
こうした表現方法の多様化から様々な見せ方・伝え方に嗜好を凝らしたレイアウトや実装が成されていますが、同時に奇をてらっただけの読みづらい・伝わりづらい表現が多く生まれているのも事実かと思います。
所謂、UIを度外視したエンターテイメント要素を高めただけの表現方法。
こういうものもいいですが、やはり非常に一過性の要素でユーザーにとって最適なものか、と言われるとそうでないものが多い印象を受けます。

そこで一度基本に立ち返り、そもそも伝えるべき意図(active-passive情報:動画・写真・文字という視覚的にユーザーに認識してもらう情報)をどうやって最適化していくのか?を改めて問い直し、その基本を踏まえた上での最新表現の導入というアプローチが必要なのではないかと考えた次第です。

そんな折に手に取ったのがこの『Detail in typography』という一冊。

マイクロ・タイポグラフィ(ディティール・タイポグラフィ)と言われる、文字、字間、単語、単語間、行、行間、コラムといった全体の構成要素の中でも最小単位の構成要素の表現に関して、論理的に最適解を見出そうとするものです。
(ここで最適解という表現を使ったのは、デザインという受け手によって画一的な評価を得られない分野に置けるマジョリティへのアプローチとしての解のため)

構成やレイアウト、コラムや図版の配置、大小ある見出しの並べ方やキャプションの組み方などはマクロ・タイポグラフィに該当する。

そもそも論で言えば、この本は欧文書体のようなプロポーショナルフォントを対象にしているので、日本語のようなタイポグラフィが等幅で設計されている要素と若干ながら考え方は違うのですが、基礎学習としては非常に良い一冊だと感じ巻いた。
というのも、こういった専門知識を持たない弊社のような感覚だけで仕事をして来た叩き上げのデザインファームの場合、基本ロジックが欠如しているため、何故この間が良いのか、要素を変更した際にどのくらいの字間を取るべきかというのを体系的にできず反復性に乏しいからです。
・ハイフネーションゾーンの取り方
・文字サイズによる識字生の変化
・カーニングの取り方
など、感覚値ではこうするべきだ、と思っていてもこれを明文化し、体系的にチーム内で共有する上での共通認識の土台を作る上で非常に有効だと感じたからです。

また文字そのものを図版でいう天と地(光と影)で考えるという考え方は非常に腑に落ちる点がありました。文字組みにおけるタイポグラフィは上から照射した光における影のとして認識すれば、日本語特有のあのぎゅっと詰まった余裕のない感じが生まれる意味がすんなり理解できたからです。

兎に角、最近読んだ書籍の中でもかなり良本だと感じたので、この場を借りて共有させていただきます。

ディテール・イン・タイポグラフィ 読みやすい欧文組版のための基礎知識と考え方